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土倉木工所

唐木細工 土倉木工所 土倉昭夫



遣唐使とともに広まった、唐木細工の文化。
 遣唐使船を通して、黒檀や紫檀をはじめとする世界各地の銘木が輸入されるようになったのが、唐木文化の始まりです。遣唐使船を通して、輸入されるようになったため、唐木と呼ばれるようになりました。
 実は唐木は、薬として輸入されたのが、その始まりといわれています。その名残は今でもあって、唐木の原木の売買は目方売り。これは当時の薬問屋が目方で販売するのが慣わしだったからだそうです。
 唐木細工は、唐木指物とも呼ばれ、まずは当時、朝廷のあった西日本で発達します。それが東へ広まり、江戸指物と融合して唐木細工となったという説が有力です。
 日本の木とは違い、ざらざらとして、硬く、重く、釘などは一切使えない唐木。その短所を職人の技で克服して、生み出されたのが唐木細工です。
 貴族文化の優美で繊細な西の細工に対し、江戸の唐木細工は武士文化。淡白な木目に薄く漆を塗り、徹底的に磨き上げた艶と滑らかな肌触りが魅力です。精緻で幾何学的な造形美も江戸の特長の一つです。



唐木は素材としては扱いにくい、しかし、日本の木材にはない魅力にあふれている。
 「じゃじゃ馬」という言葉がある。暴れ馬やお転婆な女性に対して使われる言葉だが、そこには非凡であるがゆえに凡人には扱いきれないという意味も含まれる。
 唐木というのも木工の材料としては、まさにその「じゃじゃ馬」という言葉がぴったりくる。
 硬く、重く、ざらざらとしていて、表面を削ろうとしても、通常のノミやカンナでは、まったく歯が立たない。釘も刺さらぬ硬度なのだから、まさにお手上げである。ところが、このじゃじゃ馬が、優れた職人の手にかかると、その木肌は絹のように滑らかさとなり、えもいわれぬ艶や香りまで得て、輝き始める。
「扱いにくいよ。かてえし、重いし、そのくせ量り売りだから、値も高えし。でも、面白いんだよ、この唐木ってのはさ」と苦笑いするのが、東京では数少ない唐木細工職人の土倉昭夫さんである。常磐線が通る、葛飾の西亀有に工房を構えて40年になる。
「唐木は大阪、京都で発達したんだね。公家文化だから、華やかだよね、細工が細かい。こっち(江戸)は、侍だから、派手なのはダメで、粋かどうかが問われてきた歴史がある。私はこっち(江戸)が一番だと思っているけど(笑)」

 ▲修理を依頼された黒檀でできた重厚で見事な花台。


 ▲修理は難しいが、大切にしてくれる心が嬉しいと土倉さん。


吉田茂元首相の葉巻入れの製作で、
初めて父親に褒められたことが思い出。
 土倉さんは昭和17年、浅草生まれ。父親が唐木細工の職人で、物心ついた頃から父親の仕事を継ぐという自覚があったという。
「あの頃は、家を継ぐってのが当たり前だったからね。嫌じゃなかった。高校は夜学に通いながら、もう昼は仕事していたね。時代が良かったから、仕事はいっぱいあったんだ。削りが下手で父親に怒鳴られてばかりいたけど、それでも、大人になる頃には、大きな仕事もポツポツまかされるようになったかな」
 その仕事の一つに、吉田茂元首相の葉巻入れの製作がある。まだ、20代前半の職人だったにもかかわらず、父親からやってみろとまかされた。必死で仕上げ、なんとか納めることができたという。その葉巻入れは、吉田茂の愛用品として、長い間、さまざまな場所で紹介されていた(吉田邸焼失後、所在不明)。土倉さんは、それも名誉なことだったが、何よりこの仕事で父親に褒められたのが嬉しかったと振り返る。
 唐木の原木は、普通のカンナでいくら表面を削っても、滑らかにはならない。そこで削る面に対して、ほぼ直角に刃があたる立鉋と呼ばれる道具で、削っていくわけだが、これを使いこなすのが極めて難しい。削るはもとより、調整や手入れも繊細な神経と技術が必要だ。

 ▲黒檀でできた硯箱。時が経つほど、色の深みは増していく。


 ▲何十種類ものカンナが作業場には並ぶ。
「難しいと思ったことはないけどね。唐木はクセが強いから、道具もそれなりの専門の物が必要なのは仕方ない。今、使っている道具は自分で作ったのもあるけど、やっぱり親父から受け継いだ道具ばっかり使っちゃう(笑)。親父はなかなか超えられないね」


 ▲父親から譲り受けたという立鉋。100年近く使い込まれた逸品だ。

仕事は断らない。それが自分を成長させるし、やり遂げれば、お客さんの信用が得られる。
 土倉さんは、とにかく明るい。江戸っ子らしい歯切れの良い話し方で、まわりをなごませ、笑わせる。その一方、どこか一匹狼的な強さも感じさせる。それは同業者がほとんどいない東京で、唐木細工の看板を掲げ、独力で道を切り開いてきた自信がにじみでているからのように思える。
「仕事は断ったことないね。それが信用になると思ったし、職人はそういうもんだって思ってる」
 かつて日産自動車が発表したコンセプトカー「JIKOO」の制作に参加したのもそうした意識からだったという。自動車のフロア全面を唐木で組み上げるという誰もやったことのない細工だ。企業の第一線のスタッフがまわりについた。
「ただ、コンピュータが計算した寸法通りにやったら、組みあわなくてね。現場の人間は慌てたなあ。でも、相手は自然の木だもの、そんなこともあるよ。仕方ねえから、自分の目で見当つけてやり直したよ。ま、ぴったり合うよな、こっちは職人だから(笑)」
 そうやって、これまで土倉さんが手がけてきた仕事は数知れない。時流に合わせて、作る製品も変えてきた。
 今、土倉さんの作る製品で一番の人気といえば、「唐木のお箸」である。一見シンプルに見えるお箸だが、手に持った時のバランスを考え、一本、一本削りだし、何種類ものヤスリで丹念に磨き、何度も漆がけをするという手間のかかった製品だ。
「たかが箸だけど、一度使ったら、これ以外は使う気にならないって、家族分注文してくれるお客さんがいたり、自分が使って良かったから、他の人への贈り物にしてくれたり、ありがたいよね」
 特に五角形、七角形のお箸が人気だという。家族分注文してくれた人には、箸の長さを微妙に変えて、同じ素材でも区別しやすいようにするなど、使う側への配慮が何より細かいのも土倉さんが職人としての意識が高い証拠だ。
「角が丸くなったら、いつでも削り直すし、使っていて気になるところがあったら、なんでも気軽に言ってくれれば嬉しいね。永久保証? まあ、そうだけど、でも、それじゃいつまでたっても、俺はくたばれねえじゃねえか(笑)」

 ▲計算だけでは、このように美しくは組みあがらない。


 ▲しなやかで強度のある唐木のお箸は、本当に使いやすい。


 ▲作業場はまるで寄席のように笑いが絶えない。
 唐木もじゃじゃ馬と呼ばれるほど、クセの強い素材だが、それを扱うご本人も、やはり相当なクセ者のようである。


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