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マツウラブラスト

硝子彫刻 サンドブラスト マツウラブラスト



ガラスを彫る 砂のアート
 サンドブラストの歴史は、意外と古いのです。
 ただし、その起源についてはさまざま。アメリカの風の強い海岸地方の民家の窓ガラスを砂が風の模様を描いて削り取るところから考えられたとか、砂漠地帯において窓ガラスを保護するために網をつけたら、その網の形が窓ガラスに残されたことがきっかけだとか。
 はっきりしているのは、1870年にベンジャミン・テルマンという人が船舶の錆落としの装置を製作したことです。
 日本に入ってきたのは、その17年後、明治20年、東京工芸学校窯業科に導入されたのが最初です。そう、意外と古いのです。
 サンドブラストの魅力は、なんといっても精密な図柄を描きながら、シルキーな質感をガラスに与えられること。しかも、ガラスだけでなく、今では、さまざまな素材への応用が試みられ、多くの伝統技術と組み合わされた作品がたくさん生まれている分野なのです。



知り合いの社長に勧められて飛び込んだサンドブラストの世界

 ▲繁忙期は、十時間以上も立ち続けることも珍しくない。
 頼れる男。ご本人がどう思っているかは別として、まさにサンドブラストの伝統工芸士、松浦勝利さんは、そういう人である。
 1944年。松浦さんは木型職人の家庭に生まれる。すでに兄が父の跡をついでいたので、学校を出た後も、自分の進路を決めあぐねていたという。
 「自分が何をしたいのかわからなかったね。就職せずフラフラしていた、それを咎めるような親父じゃなかったんだ」
 工房で、てきぱきと指示を出し、次々と仕事を進めていく松浦さんから想像すると少し意外な気もする。そんな松浦さんがサンドブラストの道に入ったきっかけは、ひょんなことだった。
 「親父の使いで、取引先のガラス工場に木型を納めに行ってね。そこの社長さんが、お前は声が大きいから、サンドブラストって新しい仕事に向いているかもしれねえぞ、やってみちゃどうだって勧めてくれたんだよね」
 なぜ声が大きいとサンドブラストに向いているのかは、よくわからなかったが、勧めてくれたことが嬉しかったし、なによりサンドブラストをやっている人が少ないところに惹かれた。
 「これで一人立ちできたら、誰にも迷惑かけないですむし、飛び込んじゃった」と松浦さんは笑う。勧めてくれたガラス工場の社長さんの意図は、わからないが、サンドブラストはコンプレッサーで砂を吹き付けてガラスを削るため、工房内は常にやかましい。しかし、確かに松浦さんの太く、伸びのいい声は工房内でも響き渡る。


さまざまな素材への経験と知識が新しい製品を生む原動力になっている


 ▲シルクのような輝きがサンドブラストの魅力。涼やかな桜のモチーフは、人気の一品。
 硝子工芸として、よく江戸切子と比較されることが多いサンドブラストだが、松浦さんはサンドブラストと江戸切子の違いについて次のように語る。
 「江戸切子は輝きの魅力。サンドブラストは梨地の味わい。それと、サンドブラストには硝子工芸とはいえない部分もあるんだよね」
 松浦さんがそういう理由は、サンドブラストの素材がガラスに限らないとこにある。木材をはじめ、プラスチックや金属でも彫り上げることができるし、彫るのではなく、それらを磨くために使うこともできる。たとえば、東京ディズニーランド内のキャラクター像の洗浄という仕事も松浦さんは請け負う。扱う素材の幅広さという点では、あらゆる伝統工芸の中でもサンドブラストがいちばん多いかもしれない。工業により近い側面がサンドブラストにはある。
 「ほとんどの物はサンドブラストで彫れちゃうんだけど、鼈甲だけはだめだったね。傷はつくんだけどはじかれちゃう」
 そうした豊富な素材への経験や知識こそ、松浦さんが他分野の伝統工芸士仲間から頼りにされる理由の一つだ。
 意外と思われるかもしれないが、伝統工芸の職人の多くは、単に伝統技術を継承しているだけではない。ビジネスである以上、常に時代に合った新しい製品を模索している。
 そうした職人たちにとって、さまざまな用途を持つサンドブラストは新しい製品開発の糸口となると映るのかもしれない。自分の製品に取り入れてみたいと皆が訪れる。
 その結果、これまでにデザインに曲線を加えた江戸切子や指物など、数々の新製品が生まれている。


 ▲一瞬の気の緩みが、仕上がりに大きな差となる。松浦さんは、瞬きすらせずに手元を見つめ続ける。

組み合わせることで新しいことが生まれる
 伝統工芸というとたいがい師匠がいて、そこで何年も修行をする。しかし、松浦さんの場合、新しい業種だっただけに、そういう仕組みがない。基本的なことだけ習うとポンと独立したという。
 「何でも自分で乗り越えなきゃいけなかったから、苦労といえば苦労だけど……ま、振り返ってみれば面白かったよね」
 当時は、サンドブラストで、重要なマスキングも、今のようなマスキング・フィルムが開発されておらず、単なるビニールシートを切り抜いて、自分で工夫して作っていたという。今、松浦さんの工房では、もう一歩進んだ技術を使っている。
 使い捨てのフィルムでは一点あたりの経費がかかり、コストが下がらない。そこで特殊な塗料を使い、シルク印刷することで、代用することを思いついた。
 これにより、数十万単位のロットでの受注も可能となった。その結果、大手ウィスキーメーカーのボトルや栓などに、高級感あふれるデザイン加工が可能になったのだ。
 しがらみがない部分、新しいことへの取り組みも大胆に行える。そうした発想の自由さもこれからの伝統工芸には必要だと松浦さんはいう。
 「古いだけではだめだよね。とはいえ、新しければいいという問題でもない。組み合わせることで、新しいものが生まれることだってあるよね」
 最近の松浦さんの発見は、透きガラスのコップに膠を巻きつけ、乾燥した膠がガラスの表面をはぎ取ることで描かれる自然な模様だ。この技術が何とどう組み合わさるのかは、まだ研究中だというが、新しいことに次々とチャレンジしていく姿勢は、まさにサンドブラストのパイオニアとして、業界をリードしてきた原動力だったのだろう。
 このサイトを通じて、サンドブラストの魅力を多くの人に知ってもらいたいと語る松浦さん。ここでしか手に入らない製品を次々と出してくれるというから、楽しみである。

 ▲作業を終えた瞬間、柔らかな表情にすっと戻る松浦さん。


 ▲膠が乾いていく過程でガラスを削り、描く模様。


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